我が国は他の国に比べて、40歳以上の方のピロリ菌感染率が高く、60歳以上の方では60~70%が感染しているとの報告もあります。ピロリ菌の感染経路は、経口感染が主な経路と考えられています。上下水道が整備されていないような国や地域では感染率が高いといわれています。しかし、衛生状態が改善された今日、若い世代の感染率は急速に低下しています。
ピロリ菌は胃内の強い酸から身を守るためにウレアーゼという酵素を用いてアンモニアを産生し、胃酸を中和することで胃に定着しています。ピロリ菌は、胃の粘膜に悪影響を及ぼすタンパクや毒素を産生し、正常な胃粘膜細胞を障害し胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃ガンを引き起こす事がわかっています。
そのため胃内にピロリ菌が確認されたら除菌をするべきであると専門家らがピロリ菌の除菌を推奨しています。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の経験のある方や、再発をくりかえす方、胃MALTリンパ腫の方や特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の方、早期胃がんの内視鏡的治療を受けた後の方、内視鏡で胃炎を認める方は、健康保険で検査を受けることが出来ます。
ピロリ菌を見つける検査法
内視鏡を使わない方法
1)尿素呼気試験法
診断薬を服用し、服用前後の呼気を集めて診断します。
最も精度の高い診断法です。
簡単に行える方法で、感染診断前と除菌療法後4週以降の除菌判定検査に推奨されています。
2)抗体測定
ヒトはピロリ菌に感染すると、抵抗力として菌に対する抗体をつくります。血液中や尿中などに存在するこの抗体の有無を調べる方法です。
血液や尿などを用いて、その抗体を測定する方法です。
3)糞便中抗原測定
糞便中のピロリ菌の抗原の有無を調べる方法です。
内視鏡を使う方法
1)培養法
胃の粘膜を採取してすりつぶし、それをピロリ菌の発育環境下で5〜7日培養して判定します。
2)迅速ウレアーゼ試験
ピロリ菌が持っているウレアーゼという、尿素を分解する酵素の活性を利用して調べる方法です。
採取した粘膜を特殊な反応液に添加し、反応液の色の変化でピロリ菌の有無を判定します。
3)組織鏡検法
胃の粘膜の組織標本に特殊な染色をしてピロリ菌を顕微鏡で探す組織診断方法です。